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zoom RSS 無茶庵の最近の寄稿文を供覧する。(その2)

<<   作成日時 : 2009/01/16 16:08   >>

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前回に続き無茶庵の寄稿文その2として、原子力学会誌08年11月号に掲載された
某氏と連名で書いた拙論を供覧する。

シニアの暗黙知の継承を急げ;
世界の原子力産業は原子力ルネッサンスで明るい話題が多い昨今であるが,我が国の状況を冷静に見てみると,本格的な少子高齢化時代を迎え労働者人口の減少,さらには最近の子供達や学生の理科離れなどで若手技術者の確保が難しい状況である。加えて,本格的な原子力発電所のリプレイスが始まる前まで新規建設プラントの建設も数が限られ,機器の製造や現地工事などの現場の作業が少なくなり,現場の技術・技能の維持が難しくなってくることが想定され,原子力のルネサンスを単純に喜んでいられない状況である。
欧米では,チェルノブイル専政以来の原子力の冬の時代に技術が枯渇し,原子力復活で急増する発電所の建設に際して,幸い少ないながら建設を継続していた日本とフランスの技術を頼りにせざるを得ない状況であることはご承知の通りであり,この事実はこれからの日本の反面教師としてみる必要がある。
一昨年策定された「原子力立国計画」でも「技術・産業・人材の厚みの確保・発展」の中で「現場技能者の育成・技能継承の支援」を謳っており,その具体的な施策の一つとして「次世代軽水炉の開発プロジェクト」が立ち上がった。また,原産協でも, 「基盤技術強化人材問題小本員会」でも議論され各企業は技術伝承の必要性を認識し個別に行動していると思いたい。しかしその後,技術伝承に関して具体的を施策の展開が見受けられない。海外でプラントを建設することも技術伝承の一つの手段であるが,横器製造の技術は別として,建設に係る国内の技術・技能者-の技術伝承としては多くを望めない。
そこで筆者らはシニアとして技術伝承をする立場から,改めて技術伝承・継承間違を提起する。
技術の伝承と一言でいうが,その際最も重要なことは,継承する方にその必要性と伝承を受けたいという強い意欲が存在していることである。押しつけの技術伝承は反発を生むだけである。 「子は親の背を見て育つ」の例え重り,子は必要なら何もいわなくても自分で吸収し育つのである。そこで,最も有効な伝承通り,新規プラント建設とそれに伴う新技術開発の継続であり,その面では「次世代軽水炉の開発プロジェクト」に期待したい
が,このプラントの機器製造・建設までにはまだ時間が費かり,その間にこれまでの現場を支えた技術者・技能者は消えてしまう恐れがある。伝承すべき技術・技能の中で,解析や設計手法,使用コード類,各種仕様書図面,製造・工事の要領書等やプラントの建設の記録等の書類や映像で残せる物は最近のIT技術とナレッジマネジメントの手法を使うことでほぼ完壁に残せるので,継承する側がその必要性と意欲があれば問題なく伝承されよう。
問題は,このような知識や結果のデータの伝承ではなく,例えば,立地の地元との折衝のノウハウ,工場での物作りの技能,建設現場での現場管理に係るノウハウやプラント建設のマネージメントや工程調整などのノウハウ,そしてこのようなノウハウ(暗黙知)を生む背景となった気概や情熱など精神面の伝承である。もちろん,このようなメンタルなことはその時代時代に即した手法・考え方でやればよいので,継承は不要との考えもあるが,我々の国産化や標準化の時代でも,このような先輩の話(火力,水力プラントの設計・建設の話)は業務を遂行する上で大きな力になったことを思い出す。気概や情熱などは人と人との触れ合いで伝わるものである。
最近,原子力OBの活用として,我々SNWは学生との対話会で原子力の次の世代を担う学生に勇気と情熱を伝承する活動や,シニアの実際の経験を基に一般の人に
原子力の理解と安全・安心を広げる講演活動などをしており,それなりの成果が出ている。しかし,残念なことに,技術伝承の目的でシニアの出番を求められたことは一部の大企業を除いてない。ましてや,中小企業では次世代の現場を預かる若者にベテランOBの話を聞く機会を与えているだろうか。
学会行動指針の理念,ビジョンの4項に「人材育成、学生支援により,次世代の研究者,技術者の育成に貢献する」とあるように,学会の持っている多数のシニアの知識・特に暗黙知を活用する技術者育成活動が必要であろう。学会のホームページによると, 7月からCPD(Continuing Professional Development)制度の運用が始まったようである。もう過去の建設ラッシュ時代に経験を積んだシニアも高齢化してきた。学会はこの制度に加
えて,原子力産業界に技術継承の大切さを認識させて、積極的にOBの活用を促し,事業者や企業の要請に応じてその道のシニアを派遣するというような仕組みを作り,彼らが元気なうちに,暗黙知の伝承・継承を急ぐべきであろう。       (2008年 7月24日記)
日本原子力学会誌, vol. 50,No. ll (2008) (59)

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