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zoom RSS 東北関東大震災と原子力発電(2)

<<   作成日時 : 2011/03/21 23:22   >>

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           関東・東北(東日本)大震災と原子力発電所           関東・東北(東日本)大震災と原子力発電所
               (3月21日までの総括)
                                                         平成23年3月21日
                                                              伊藤 睦

皆様
3月11日に発生した関東・東北大地震は地震もさることながら津波の被害は甚大で、1万人を超える多くの犠牲者が出たことに心からの哀悼の意を表すると共に非災された50万人以上の方がたお見舞い申し上げます。
津波の威力は昨年のスマトラ沖の地震の時お驚きましたが、身近に起こった様子を、TV画像を見て水の力の偉大さに驚愕しました。
この災害により福島第一原子力発電所で原子力災害が起きてしまい、国民の皆様に御迷惑、御心配をお掛けしてしまったことを関係者の一人として申し訳なく傷心しております。

既にご存知とは思いますが発表された情報を元に事故の経過を振り返えり、これまでの情報と各方面の分析報告等をベースに、私なりの推察を加えた事象の分析結果を記載致しました。少しでも皆様のご理解の助けになればと思う次第です。

原子炉停止から冷却不能まで
@核反応の停止:地震動により原子炉発電所は設計通りスクラム〈緊急停止炉内に制御棒が急速に挿入すること〉し、〈地震計からの自動スクラムかタービン自動停止に伴う自動スクラムか不明である〉無事に停止しました。この時点では特に目立った機器の損傷はなかった。事故拡大の原因は大地震というよりあの津波の威力にありました。地震の振動では各部はびくともしていないということは柏崎の経験からも確信しております。
A残留熱の除去:原子燃料は核分裂反応が止まっても、それまでに出来ていた、分裂生成物が崩壊する時所謂崩壊熱を出し続けます。この崩壊熱は停止後時間と共に指数関数的に減少しますが、原子力発電所の出力が大きいだけに相当な量です。地震後もこれを冷やし続けなければなりません。当初はその熱で発生する蒸気の力で炉心冷却水を廻す系統{1F1ではIC冷却モード、1F2〜1F3はRCICモード)の力と非常用DGによる動力で非常用炉心冷却系で燃料を冷却し、ある程度燃料温度を下げることができましたがその後津波が来襲より、電源喪失と蒸気圧力の低下、更には制御系の不調で働かなくなってしまいました。
B非常用DGの停止:非常用の電源はポンプや電動弁等を動かし炉心を冷却するのに是非とも必要です。このため3系統の信頼性の高い外部電源(25万Vの送電線、東北電力の6万Vの非常用電源2系統)が用意され、このバックアップに耐震クラスAの独立2系統の非常用ディゼル発電機が用意されていました。しかし、これが地震と津波のため供給不能になりました。
E所内全電源喪失:2系統ある非常用ディゼル発電機は無事起動しました。しかし、約30分後津波が来て、燃料タンク(屋外に耐震Aクラスの基礎上に設置)が津波で流されてしまいました。ディゼル発電機の冷却水を冷やす海水ポンプも津波で海水が建屋内(水密な耐震Aクラス建屋内に設置)に入り、絶縁不良になってしまっていたようです。そのような訳で全電源喪失と云う重大な問題に直面してしまいました。
Cまた、耐震設計された真水のタンクも十分用意してあったのですが、画像を見る限り、津波で皆根こそぎ(少しでも残っていることを祈ります)流されてしまったようです。
この後の経過はTVでご覧の通りでありますが、想像を加えポイントを説明します。

冷却不能への対応と封じ込め失敗
@圧力容器内の状況:1,2,3号機では動力がなくなり強制冷却できなくなった炉心に冷却水を注入するには高圧水が必要です。しかし電源がないので非常用冷却水ポンプは動かせません。今回用意した消防用注水ポンプは圧力が低い(なぜ、高圧のポンプを使わなかった?)ので、原子炉の圧力を下げるのに逃し安全弁を強制的にバッテリーの電気で開き(安全弁機能が働いたのかもしれません)格納容器の圧力抑制室に蒸気を放出しました。発表では、此の時、燃料の上の部分は炉水がなくなり、燃料被覆管温度が上がり、水と被覆管のZrが反応しいわゆる水-Zr反応を起こし水素を発生したとしています。またこの結果として、燃料内部の核分裂生成物クリプトン、キセノン、沃素等のガスとセシュ―ム等)が放出されると共に大量の水素が発生したとされています。炉心を冷やすため、真水が得られないので(どこまで努力した結果なのかは私には明確には分かりません)炉内に海水を注入し冷やしました。これにより炉心は高温高圧な状況ではありますが比較的安定していると思われます。
A原子炉建屋の崩落;1号機と3号機はこの後、原子炉建屋で水素爆発が起こってしまいました。この水素は先の水-Zr反応でできた水素か、炉心冷却水に中性子が当たり生じた水素が配管等のどこかでリークして出てきたものが、原子炉建屋内に漏れ出し(水素は透過性がよく僅かな隙間から漏れ出す)、電源切れで非常用換気空調系 が止まってしまっていたため、原子炉建屋の天井裏にたってしまい、空気と混ざり爆鳴気になっていた水素が地震の振動等の摩擦熱で爆発したものと考えられます。このため原子炉建屋内にあった放射性物質や炉内の燃料から漏れたヨウ素やXe等のガス状の核分裂生成物〈放射性ガス〉がが放出され、放射線レベルが上がってしまいました。爆発により、関係機器がどの程度痛んだかは心配なところです。
B格納容器からのベント:もう一つの問題は1・2・3号機で原子炉圧力容器から放出された蒸気が冷却されないため格納容器の内圧が上がっていきました。ここでいざと言う時を考えて設けてあった非常用放出系の電磁弁を開けたかったのですが、電源がなく開きません。漸く内閣作戦本部の許可を得て手動で煙突に通じる手動弁を開き、フィルターを通さず放出しましたが、この弁を開くのに所員は相当の被曝を受けながら漸く開放に成功しました。この時も相当量の放射性ガスが放出されました。2号機ではその作業中に音がした事蒸気と思われる白煙があがった事で、何らかの原因で格納容器の一部である圧力抑制室が損傷していると考えられ、そこからも放射能漏れが生じている可能性がある。
C燃料プールへの海水注入:3.4号機では、ここでもうひとつの問題が発生しました。使用済み燃料プールにあった使用済み燃料の温度上昇です。これは炉内で核反応を起こした後、時間と共に発熱量が減少していきますが、4号機はつい先ごろまで運転していたものが、定期検査に入り、炉点検のため,未だ結構発熱量の残っている使用済み燃料が全量が炉心より取り出して使用済み燃料プールに保管されていました。これはまだ定格運転の200〜300分の1程度の崩壊熱を出していますので、電源がないためプール冷却系が働かずプール温度がだんだん上昇してしまいました。プール水温度は水素爆発がなければ1週間位は冷却しなくとも沸騰する(100℃)までは行かない筈ですが、地震のスロシング等で水が少なくなったせいかプール水の温度が上がり、沸騰して蒸発してし、水面が低下し燃料の頭が出てしまったのではないかということが心配されました。結果として、これにより他の号機と同様原子炉建屋内で水素爆発が起きてしまいました。自衛隊や消防が海水を注入していることはご承知の通りです。

修復に向けて
事故から10日たった今日、一番待望された外部電源の供給に成功しましたというニュースがありました。水素爆発やモーター配電盤等の塩害により不具合が発生しているかも知れず、今後復旧にどの位かかるかは分かりませんが、電力が供給され、冷却系が生きると同時に、炉心とプールに水を供給することができれば収束に向かうことができます。しかし、多量の放射性物質が放出されておりますので、被爆下の作業で時間が掛ると思われます。
更に、海水注入によって発生していると思われる塩の処理や廃棄物の処理など新しい問題も出てくることも想定されます、場合によっては最終的な終息には1年以上掛ると思います。
なお、津波による浸水被害のすくなかった第2福島の4基〈110万kwBWR〉は自動停止し、一部海水系ポンプが故障して一時冷却機能が低下したが、全て復旧し、冷温停止に成功している。また,同様に10を超す大津波に襲われた女川原子力発電所は2号機(82.5万kwBWR)は停止中で、1号機〈52,4万kwBWR〉と3号機(82.5万kwBWR)は定格出力で運転中であったが、プラントは予め予想津波を大きく見て海面より17mも高い位置に設置していたため津波の被害も無く無事に冷温停止に成功している。

今後の原子力について設計条件として津波の想定が甘い、全電源喪失の際の対策をなんとか考えろ、水素爆発を起こすとは何事か等々、厳しいご意見があろうことは十分想像されるところでありますが、我々OBとしては、現在の事象の安定化に向けた各界の現役各位のご健闘を祈るのみです。そして今回の現象がある程度落ち着いたところで、この様な事象の発生した原因/要因を徹底的に焙り出し、対応策の立案に向けた努力をしたいと考えております。
我が国のエネルギーの安全確保には原子力は避けて通れない選択肢で有ります。したがって、我々日本人は、より安全な原子力発電の開発に勇気を持て向かう必要があると考えますので、今後とも原子力に対する御理解とご協力・支援を賜るようお願い致します。
尚、関係者の努力でこの事象藻収束に向かうものと思います。しかれば政府発表のように放射線についての心配はないことを申し添えると共に、現在も関係者一同、結構高い放射線レベルの中で日夜作業を続けていることに思いをいたし、ご理解頂くようお願いする次第であります。
                                以上

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